第1章 土台
練習テンポの決め方と、速度を上げる基準
日本でギター教室を運営する講師が書いています。 公開日 2026年9月18日
「ゆっくり練習しなさい」は正しい助言ですが、実行できる人はほとんどいません。どれくらいゆっくりなのか、どうなったら速くしてよいのかを言っていないからです。どちらにも実用的な答えがあります。
ミスが出なくなる速さから始める
開始テンポの目安は、その箇所を3回続けて正しく弾けるいちばん速いテンポです。「ほぼ正しく」ではありません。運指が遅れて着地する、弦がビビる、コードチェンジの前に身構える——どれか1つでもあるなら、そのテンポはまだ速すぎます。その箇所ではなく、立て直し方を練習していることになります。
速すぎる練習の本当の代償はここにあります。繰り返しは、実際にやったことを自動化します。難所の前で身構える動作も一緒に覚え込みます。ゆっくり弾くことは心がけの問題ではありません。何を覚えるかを自分で選べる唯一の速度だから遅くするのです。
上げてよいかの判定
3回続けて弾けて、なお注意に余裕があるならテンポを上げます。余裕があるとは、クリックが聞こえている、音のむらに気づける、1小節先を考えられる、という状態です。注意のすべてを実行に使い切っているなら、結果がきれいに聞こえてもそこが限界です。
「うまくいった気がする」では見落とすものを拾う確認が2つあります。
- 途中から弾き始める。その箇所の真ん中から始めてみてください。頭からしか始められないなら、順番を覚えただけで中身を覚えていません。
- 間を空けてもう一度弾く。10分後に、何の準備もなく弾きます。そこで残ったものが、その日に本当に身についたものです。
上げ幅はどれくらいか
その箇所が崩れない程度です。実際には4〜5%前後が目安になります。遅いテンポでは数 BPM、速いテンポではもう少し大きくなります。一度に20も上げるから、「遅いテンポでは弾けるが目標テンポでは崩れ、その間が永久に埋まらない」というおなじみの形になります。
崩れたら、1段戻してそこで数回繰り返してから、もう一度上げます。最初まで戻すのは積み上げの無駄ですし、崩れたテンポに留まるのは崩れ方の練習になります。
目標テンポだけで練習しない
目標のテンポを決めると、それ以下を「通過点」として扱いがちです。しかし本番のテンポはぴったりになることがまずありませんし、人と合わせる音楽は動きます。毎回の練習で、目標より少し速い側と遅い側にも意図的に時間を割くと、実際に起きたことに追従できる幅が育ちます。
練習の途中でつまみを触らずにこれをやる方法があります。テンポの違うパターンを自動で切り替えるシーケンスを作っておくのです。たとえば3つのテンポを4小節ずつ、繰り返すように組みます。こちらは弾き続け、メトロノームのほうが目標を動かしてくれます。
記録を残す
その日に到達したテンポを、日付と一緒に書き留めてください。無いと、次回は推測から始まります。そして推測はたいてい甘くなります——通過したことのないテンポで練習し続ける、という事態はこうして起きます。ノートに数字を2つ書くだけで、この問題はまるごと消えます。
これらが何のためかは、こちらに書いています: パルスとパターン——メトロノームは足場にすぎない